フェスティバル/トーキョー、ジゼル・ヴィエンヌ「こうしておまえは消え去る」

バジル・ツイストや沢則行さんも卒業しているフランス国立高等人形芸術学院で学んだジゼル・ヴィエンヌ構成・演出・振付・舞台美術の芝居を観に「にしすがも創造舎」へ。今年アヴィニヨン・フェスティバルで初演された作品。
急に観劇することにしたため、当日券長蛇の列に並ぶ。。

隣の校舎で開演を待つ。フェスティバルのプログラムディレクター女史のトークつき。

あやうく払い戻しかと思われたが、通路階段の座布団席の一番前に座れた。
霧深い森を再現したお金のかかった「ハイパーリアルな」舞台セット。
前半は「完璧な美を体現する」若い女性体操選手が平均台演技のような動きを永遠に行い、そこに「権威と秩序を象徴する」コーチが付き添い、彼女のような「完璧な存在」を殺したい欲望を吐露。ソロダンスを続ける選手はやがて大量の霧に沈んでいく。とそこにプリンスとマイケルを足して2で割ったような「崩壊した美を表す」薬物中毒のロックスターが「自分は彼女を殺した」と現れ、コーチが戻ってきて彼を殴り殺す。体操選手が戻り、デニス・クーパー作詞のsexy angelの歌を歌う。暗転。ロックスターの死体、テントの中で死んでいる何者かの死体、体操選手。それを目撃している家族。すべてマネキンのような人形。。。最後にはやぶさが登場。狩りのシーンだ。。。
日常的に哲学書を読んだりする習慣がない「ふつうの日本人」にとっては、ちょっとぴんとこない内容。。終演時の拍手も「やっぱり」遠慮がちでした。。たしかに私たちが生きている世界とは、このような欲望や嫉妬にまみれた汚い世界なのだが、あのような「狩猟民族的」かつ「抽象的」な表現は日本人の感覚からは遠い。「エロス・タナトス」よりも「かわいい」美学が好きだし、「これでもかと親切に、とてもわかりやすく演出されているお芝居」(江戸時代の歌舞伎みたいに)に慣れているから、ハッピーエンドなハリウッド映画やブロードウェイミュージカルとかのほうが好きでしょ。。

きゃあ!この生肉を食べているふくろうさんは出演者だったのね。。。